「左の突発性難聴」が改善した症例 広島市安佐北区 40代男性

今回の「突発性難聴」の症状について

症状が出たのは去年の年始(2022年1月半ば頃)で、朝に家族との会話に違和感があり、

会社へ出社しても、電話の声などが異常に遠く、音が反響するような感覚。

左耳だけがそのような感じで、右耳は大丈夫そうだったが、

念のためその日のうちに耳鼻科へ行ったとのこと。

診断は「左 高度突発性難聴」で、70dB(デシベル)の音が聞こえていなかったようです。

即日入院をして、10日間の間ステロイドの点滴による対処をし、

70dBの聴力は、50dB程度まで下がっていたとのこと。

しかし、それ以上の改善ができないまま、ステロイドによる投薬は終わり、

左耳の鼓室内注射、高圧酸素療法を試しましたが、変化は出なかったとのこと。

左耳の低音が聞こえづらく、水の中にいるような反響、

低音域の耳鳴り(ジーンという音)がありました。

患者さんの来院までの経過

「突発性難聴」や、「メニエール病」は、

病院では初期の対処をしても症状が残る、もしくは全く効果が無かった、

場合は、それ以上できることが無いと言われてしまいます。

今回の患者さんは症状が出た初日から入院までの手順をすぐにしているため、

一番早い対応ではあったのですが、残念ながら症状が残ってしまいました。

その後は、メチコバールやビタミン剤や(ビタミンB12 どちらも神経の再生を促すと言われる薬)、

アデホス(脳の循環を整える薬)などの処方や、

高圧酸素療法(耳の中の血流にアプローチする)や、

鼓室内ステロイド注射(鼓膜の奥へ、直接ステロイドを注射する)

により、改善を期待したようですが、初期のステロイドでの効果で改善が無くなる場合は、

ほとんどのケースでは難しくなります。

これは、

薬は炎症を抑えたりすることが得意なためです。

炎症を早く引かして、あとはご本人の自然治癒力に期待するしかありません。

西洋医学では、

というのが現状のため、

「症状が固定している。」

と言われてしまいます。

また、来院時の難聴の程度は中等度で、

普通の大きさの声での会話でも、聞き取りにくいレベルの聴力低下が起こっていました。

中等度難聴 [聴力レベル40dB以上70dB未満]
普通の大きさの声の会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。補聴器の良い適応となります。

また、内耳の循環障害により、聞こえる音が反響し、

耳鳴りも同時に感じる状態でした。

当院での病態把握と、施術の方針

まず、脈や舌、腹部の触診によって東洋医学的な体質診断をおこない、

体質をしっかりと鑑別した上で、

耳周辺の組織の回復を促していくようにします。

鍼灸施術では、耳の鼓膜よりも奥である、

内耳の状態を改善させるツボというのがあり、

体質の改善をしっかり行うことで自然治癒力を向上させ、

ツボを的確に狙い刺激をすることで、

固定してしまっている難聴でも効果が出る場合があります。

図の「内耳」の部分にある、蝸牛や内耳神経の状態を活性化させていきます。

また、蝸牛(かぎゅう)や三半規管(さんはんきかん)と言われる部分は、図でも水色ですが、

これは、リンパ液という水分が多いためです。

ようするに、水の流れが悪くなりむくんだり腫れたりすると、

「音が水の中にいるように反響する。」

という状態になるわけですね。

また、黄色い部分の神経を痛めてしまうと、聴力に異常が出て、

耳鳴りが出てしまいます。

また、蝸牛の組織内には、「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」という細胞が無数にあり、

これが聞こえの良し悪しに影響します。

薬ではこの有毛細胞の再生が難しいですが、

鍼灸施術では、この細胞の再生を促すことが可能です。

蝸牛の内部の図、小さい赤や緑の毛のような組織が、「有毛細胞」

※病院での血圧などの脈とは違い、東洋医学的に、手の感覚で脈の状態を見極めていきます。

また、舌などの情報も、体質からきている原因を探るために非常に大切です。

突発性難聴の場合、

「肝鬱(かんうつ)「肝火(かんか)」「陰虚(いんきょ)」

「腎虚(じんきょ)」「痰濁(たんだく)」「経脈・経絡(けいみゃく・けいらく)の滞り」

など、ほかにも様々な要因があります。

今回の方の場合は、「腎陰虚(じんいんきょ)」と、「於血体質(おけつたいしつ)」

というのが合わさり出ていました。

「腎陰虚」というのは、

身体のエネルギーが不足している状態(そのため、回復しきらない)

「於血体質」は、血の巡りが非常に悪い状態。

その二つが重なり症状が残っていました。

そして、加えて「慢性鼻炎」も持っている方で、

実は、

なので、鼻が詰まると、耳の症状がでやすく、

逆に耳の症状がある人は、鼻の症状が出やすくなったりするんです。

また、突発性難聴やメニエール病などの場合、

風邪をひいてからしばらくして発症する方も、実は多いんです。

先ほどの図ですが、ピンク色の「耳管(じかん)」が、鼻と繋がっています。

なので、体質的な「腎陰虚」、「於血体質」を改善させて回復力を高め、

そして「鼻炎」に対する施術をして、

耳の中の障害を、より効率的に改善させるようにアプローチをしていきました。

施術後の経過

突発性難聴やメニエール病などの聴力低下を起こす疾患の場合は、

当院では5~10回の施術をしっかりと続けるようにお伝えしています。

今までの経験から、発症した初期の場合はもちろん早く効果が出ますが、

時間が経過している場合でも、10回以内に変化が出れば、

続けることでより改善する可能性が高い人が多いからです。

病院では、ステロイドなどを使い、

今回の患者さんは、週に2回の通院を続け、

5回が経過するころには、耳の聞こえ方が変わってきたとのこと。

「水の中にいるような反響音」が無くなり、

音がクリアに聞こえてくるようになっていました。

そのまま施術を続け、

10回目に来院される前に、耳鼻科にて検査をしていただくよう伝えました。

オージオグラムという、聴力の詳しい状態が分かる検査です。

画像はイラストですが、他にも骨導聴力(音叉による検査)や、鼓膜の状態が詳しくわかります。

その聴力検査の結果を確認すると、

発症初期→70dB(デシベル)

ステロイド点滴後→50dB(デシベル)

鍼灸施術9回継続後→35dB(デシベル)

まで軽減していました!

正常の聴力が10~20ですが、このまま続けているとさらに軽減していくはずです。

このように、

病院では「症状が固定している」と言われてしまい、

アプローチができないものでも、

鍼灸の場合は、西洋医学と違う観点からの施術で効果が出る場合も多くあります。

同じような状態の方でも、あきらめずにぜひ、風香る鍼灸院へご来院下さい!

少しでも多くの方の改善を目指し、施術を提供していきます!

広島県広島市中区西十日市町2-2 APEX免出101 風香る鍼灸院

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