「胃癌の手術後(胆嚢全摘)化学療法中の早期仕事復帰」の改善症例 広島県 20代 女性

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今回は『胃癌手術(胆嚢全摘)と化学療法中の早期仕事復帰』の改善症例をご紹介!

今回の症例は『胃癌による手術と化学療法中の副作用の軽減』を目的として来院され、
通院を続けることで免疫力が向上し、職場復帰も非常に早期にできた、
当院で実際に改善した方の症例です。最初に当院へ来院されたのは、6月中旬でした。
来院初期は、約半年前(2024年秋頃)に胃癌判明、手術(2024年11月)
によりを胃の大部分を切除、
胆嚢は完全切除をし、
加えて今年の1月から抗がん剤による化学療法(服用による抗がん剤)をしておりました。
化学療法による副作用が非常に強く、吐き気と胃のつかえる感覚、痛みや貧血のような症状
も出現、食欲ももちろん無く、非常につらい状態だったかと思います。
上記の写真は、実際の患者さんの2025年8月時点でのCTスキャンの結果です。
その前は5月にCTをされていますが、転移部分は無く(再発していないということです。)、
腹水が少しだけ溜まっている状態。つまり炎症反応がどこかにあるということですね。
下記の資料は、初診時にいただいている血液検査結果です。

初診時にいただいたもので、もちろん許可を得たうえで、こちらの症例にあげさせていただきます。
それぞれの検査項目の説明を軽くしましょう。
赤枠で囲っている部分が、『L(Low)』 『H(Hi)』とついている項目が多い、
もしくは正常値より大きく逸脱している部分ですので、
まず1枚目の上、
・白血球
~
・ヘマトクリット値
という項目ですが、これは『赤血球』の状態です。
これはみなさまも馴染みが深いかと思います。
要は人間のエンジン部分、栄養を全身に運ぶために非常に重要な組織ですね。

ローやハイとつきますが、基本的に異常が出る場合は血液がドロドロです。
これは抗がん剤の仕組みが大きく影響します。
『毒を以て毒を制す』
というのが西洋医学の根幹部にあり、特に抗がん剤などの化学療法は、
特にこの機能をがん細胞へフォーカスして使います。
ただし、
全身性に効くモノですから、
正常な細胞も、もちろんダメージを受けるわけですねぇ( ^ω^)・・・
この方の場合は、『L(Low)』が多く、貧血もしくは、
免疫細胞が多数存在する、白血球数が落ちてしまっています。
病気に対する抵抗力が、全体的に落ちてしまっているということです。
薬が良く効けば効くほど、この色は強くなってしまいます。
次の項目は、
『総ビリルビン』、『ビリルビン』、ほんでもってその少し下の『ALT』です。
こちらの数値は、『肝臓の機能』や、『胆嚢の機能』を表します。
油を分解する消化酵素を出すのが、肝臓や胆嚢の役目です。
『肝臓は人体の化学工場』とも呼ばれていて、
500種類以上の機能を有するのだとか。また、現代医学でも、まだ判明していない機能もあるとか。
『沈黙の臓器』とも呼ばれる肝臓は、いつもフル稼働で、『体にたまったらまずいモノ』を
分解しているんですねぇ。もちろん、それは薬も例外でなく、
薬の解毒をするために、肝臓に(狭義には腎臓にも)負担がかかり、数値が上がります。
特に、この方の場合は、
『胆嚢の全摘』
を胃がんの手術とあわせておこなっております。
胃と十二指腸、膵臓、胆嚢はそれぞれが消化酵素を出したり、
食べ物の分解をしたり、近接臓器でもあるため、
しばしば転移を起こしますからね。
また、胆嚢にある『胆汁』という酵素は、肝臓で作られます。
肝臓で作ったものを、胆嚢に貯めるんじゃけども、その胆嚢がないけん、
ビリルビンという酵素の値が上昇してしまうわけですね。
これは、肝臓の機能を上げてあげれば、過剰に作られている胆汁のビリルビンも落ち着いてきます。

そして2枚目、こちらが非常に重要な血液検査項目です。
いわゆる『癌のマーカー数値』ですね。
マーカーというのは、癌に特異的に増加する酵素などを抽出したもので、
これが高い=癌がいる可能性が高くなる
という風に現代医学では考えられています。
4月の数値とくらべると、5月の数値は高くなっており、
『抗がん剤を使っているのに高くなっている』
という風に考えられます。
これは、身体の免疫力が低下している、
もしくは、薬に慣れてしまっている(度々登場します、トレランスという現象です。)
まだ数値的には低いのですが、これが正常の数値を大きく逸脱する(大体10倍以上の数値です)
となると、薬を変える必要が出てきます。
その変えた薬が合えばいいですが、合わない場合は副作用が思いっきり出ます。
抗がん剤の選定は、非常に難しいんですね。
当たるも八卦当たらぬも八卦、という形になるパターンの方も、今まで多く見てきましたが、
やはり、副作用が強く出だすと、余命が近くなる人が多いです。
おおまかには、上記のように当院では考えます。
この血液検査の内容、通院していく中での、血液検査結果の変化の度合いなども鑑みて、
現状ある症状をヒアリングしつつ、施術を組み立てていきます。
当院で行った病態把握と、症状に対する見解
まず、初診時の症状は、
『常に胃がつかえており、吐き気や、実際に食べても嘔吐する。常に体がだるい。』
というものでした。
そして、大事なのが『がんの再発を防ぐために免疫力を上げること』
そして、『早期の職場復帰』です。
今回の患者さんは20代で、まだまだ働き盛り。先の見えない現状に、非常に不安な気持ちも多かったと思います。
初診時はほとんど喋らず、黙々と鍼灸施術をしたことを覚えています。
まぁそりゃあ、話す元気もないですよね。
抗がん剤は、基本的に、免疫力ごと癌細胞を破壊するための薬です。
ダメージはどのような病態であれ、大なり小なりありますし、
繰り返しの投薬で、体力が尽きてしまう場合もあります。
少し脱線しましたが、まずは化学療法で現在使っている薬のことから。
『エスワンタイホウ』という薬でした。
これは、錠剤やゼリー状の薬を3種使うもので、やはり利点は『入院をする必要がない』
ということにあるでしょう。
この薬は、2000年代前後に日本で初めて作られた経口摂取の抗がん剤である、『TS-1』を、
ジェネリック化した薬です。
安価であること、経口摂取であること、という利点があり、
特に胃癌に対しては代表的なレジメン(医療的な計画書)となります。
他、薬に関しては、『医療添付文書(いりょうてんぷぶんしょ) (+薬名)』
で検索すると、一般の方でも見れる資料が出ます。
この、経口摂取が可能な抗がん剤
という位置づけは、要するに、『抗がん剤の中ではまだあまり強くない薬』
という意味を持ちます。
ただ、症状がまだ強くあることが、薬の影響なのか、検査上悪化しているマーカー数値から読み取れる胃癌のせいなのかは、まだわかりませんね。
これは誰にもわかりません。
とりあえず、当院でできることは解毒と免疫向上です。
癌を少しでも改善させるためには、
過剰に化学療法を続けるケースも、少なからずあると感じることもあります。
じゃけん、この方のこれからの西洋医学的なアプローチは、
このまま数値が上がる場合は、静注点滴(じょうちゅうてんてき)の抗がん剤へ変わる可能性を
強くはらんでいました。
つまり入院加療を要する、強めの薬をまたいれるということです。
鍼灸施術でそことどう渡り歩くかという部分ですが、
★『免疫力を上げる』
というのが非常に大切です。
免疫力を上げると一言にいっても、要するに血流を上げたり、体温を上げたり、
炎症を抑えたり、色々なアプローチ法ができます。
今回の患者さんの場合は、
まずは消化器症状が強く出ている部分を少しでも取り除くこと、
そして食事をしっかりとれるようにして、免疫力を上げてあげること。
というのが一番大切なことです。
・異常値が出ている血液検査へのアプローチをする
ということも同時にします。
免疫力を上げることで、予後をより良好にすることを目指します。
当院での『胃癌の手術後(胆嚢全摘)化学療法中の早期仕事復帰』に対する鍼灸施術
前置きがどうしても長くなってしまいましたが、上記のことを踏まえてまとめると、
★まずは全体的な免疫力のUPを図り、異常値が出ている数値へアプローチ
★もちろん、再燃というのを予防するためにも、免疫力を上げる
★胃のつかえ、吐き気や嘔吐などの消化器症状を抑えることで、食べ力をつける
というのに重きを置き、加えて東洋医学(中医学)的な所見をします。


脈診や舌診、腹診をしていき、所見をこちらでも立てます。
▼脈は沈んでおり、弱脈(じゃくみゃく)という非常に弱い脈をしていました。
▼舌の所見は、舌苔(ぜつたい)といって、苔が非常に薄かったです、というかほぼ無かった。
これは、身体の元気が尽きる時に現れる危険な舌でした。
▼腹部に関しては、オペの影響により切除の痕が広範囲にあり、臍の周辺は非常に固く、少し押すだけでも顔をゆがめていました。
脈が弱い、という部分は、そのままの意味で、
『体力が低下していたり、免疫力が著しく下がっている状態』
です。
また、抗がん剤や放射線、手術などをした場合に忘れてはいけないのが、
傷陰(しょういん)と言われる、生命力を丸ごと取り除かれる状態になりやすい。
ということ。舌が乾燥気味なのや、脈が弱いのがその所見にあたります。
その辺も踏まえて、治療計画を組み立てました。
まとめますと、
★免疫力を上げる(傷陰に対する施術と、脾虚という病態に対するアプローチ)
★まずは腹部の圧痛も強いため、原因となる炎症を取る(於血を散らす)
という2点がメインです。
初期の頃はしっかりと効果を積み重ねる必要があったため、週に1度の施術を続けました。
約10回ほど、期間にして3カ月程度ですが、状態も安定しました。
職場復帰も無事にできたため、今回の症例として。
以下、直近の検査結果です。

白血球や赤血球数値も基準値に近くなっております。
胆嚢の数値や肝臓の数値(ビリルビンやAST、ALT)も正常化。
そして癌の方で大事なのが、
『マーカー数値』で、上記画像の一番下段の赤枠内の数値です。
CEAは、最後の血液検査時は発熱があったため、それにより上がっていました。
じゃけん、一時的ですね。
ほんで、CA19-9、これも癌マーカーですが、
しっかりと正常値に入っており一安心です。
★これは鍼灸施術により、内臓機能の賦活化ができたということになります。
医学的にみても、体質が変わるのに3カ月は必要ですが、
今回の方は元々体力があったのと、やはり精神的に非常に強い方でした。
それが後押しする形で、早くに状態が安定しました(^^)/
体重もしっかり増えて(本人は複雑そうな顔をしていましたw)、正常体重に近い状態へ。
このように、
西洋医学的・東洋医学的どちらからも原因を判断することで、
より効果的な施術方法を組み立てていきます。
今回の方は、
・化学療法や手術により低下してしまった免疫力を上げていくこと。
・続いていた炎症の反応を取ること。
・食事療法や効果的な運動を勧めること。
大きくはこの3つのことを、症状の経過を見ながら組み合わせて施術をしていきました!
まだまだ油断ができない部分もありますが、通院ペースは落としても大丈夫と判断し、
現在は2週間に1度の施術を続けています。
趣味であることも楽しくできているようで、とても嬉しく思います(*^-^*)
今回の症例は、鍼灸施術でも中々難しい病態なのは確かです。
ですが、当院はその経験が多くあるため対応が可能です。
万人に必ず・・・という状態まではまだまだほど遠いですが、ベストを尽くすことができる施術を提供できる自信はあります。
何かできることが無いかとお悩みの方は、闘病中であろうと経過観察中のケアであろうと対応できますので、是非、当『風香る鍼灸院』を頼ってください!
このように、
▼癌の手術後や化学療法後のケア
▼病院では中々難しいと考える症状
▼いろいろな症状がでるけど、対応ができるのか?
という状態でも、
原因をより明確にし、しっかりと東洋医学的な体質改善も行うことで、
症状は軽減し、状態によっては短期間でも日常生活が楽になるようにアプローチができます。
そのような難しい病態の方でも、当院の鍼灸施術は改善を目指せるはずです!
お困りの方は、ぜひ当院へいらして下さい(*^▽^*)
〒730-0806
広島県広島市中区西十日市町2-2 APEX免出101 風香る鍼灸院
